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2021年 私的ポップカルチャー BEST30

今年の6月に、月に1回ブログを更新すると決めて、ときに謎の義務感にかられながらもなんとか半年続けることができました。せっかくなので、今年観た・聴いた・読んだポップカルチャーのすべてを無理やりベスト30にしてみたいと思います(本当は自分の中だけの遊びとしてやるつもりだったけど、いざ作ってみたら公開したい欲求にかられてしまった)。
オールジャンルのポップカルチャー年間ベストは下記の方々のエントリーを観てやりたいと思ったものなので、参考文献的に貼らせていただきます。

各作品についての説明やコメントは脚注に回しております。どうぞ!

 

30. 熊倉献「ブランクスペース」*1



29. ななまがり「けんちゃん」*2




28. チャンスの時間「ノブの好感度を下げておこう」*3



27. Perfect Young Lady「Perfect Young Lady」*4




26. xiexie*5




25. マヂカルラブリーno寄席*6




24. テレビ千鳥「1周だけバイキング」*7




23. 「今ここにある危機と僕の好感度について」*8



22. 首藤凛「ひらいて」*9




21. ダウ90000 第二回本公演「旅館じゃないんだからさ」*10

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20. 柴田聡子「雑感」*11




19. Faye Webster「I Know I'm Funny haha」*12



18. 「うきわ ー友達以上、不倫未満ー」*13



17. 「家主と台風クラブ ふたたび」@WWW X*14




16. 藤岡拓太郎「大丈夫マン」*15


15. 岸政彦「東京の生活史」*16



14. 平尾隆之「映画大好きポンポさん」*17




13. マヂカルラブリーオールナイトニッポン0*18



12. エメラルド・フェネル「プロミシング・ヤングウーマン」*19



11. 「セックス・エデュケーション」シーズン3*20




10. Bruno Pernadas「Private Reasons」*21


9. キングオブコント2021*22




8. 「ホークアイ*23




7. ガシェット「エッセイストのサイン会」*24



6. 囲碁将棋単独ライブ「WITH AMAZING VIEWS 2021」*25




5. 「お耳に合いましたら。」*26



4. Homecomings「Moving Days」*27




3. 囲碁将棋の情熱スリーポイント*28

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2. 爆笑問題カーボーイ 2021年11月23日放送回*29

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1. 「カネコアヤノ 日本武道館 ワンマンショー 2021」*30

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手軽にいろんなジャンルのカルチャーに触れられることで、どんどん浅く広い、何にも詳しくない人になっているようなジレンマがあるのだけど、それでもこうしてベスト30を並べてみるとそこそこ満足のいく並びになったような気もします。これを更新している1月1日19:00時点の2022年の1位は、フットンダでのジェラードンの「赤ちゃんショー」なので、今年はそれを上回るものと30個以上出会えることを願っています。ありがとうございました!

▼そのほか次点(一部2021年が初出じゃないものあり)
Hi, how are you?「High School, how are you?」 / And Summer Club「Dreaming Galaxy」 / ミツメ「VI」 / EMERALD FOUR「天国から離れて」 / シャンモニカ「トゲトゲしっぽ」 / グソクムズ「すべからく通り雨」 / 冬にわかれて「もうすぐ雨は」 / 折坂悠太「心理」 / Boyish「We're all gonna die, but hbre's my contribution」 / 太田貴子「Voice of Angel」 / わがつま「第一集」 /  Clairo「Sling」 / Snail Mail「Valentine」  / 大和南那「夜明け前」 / オリヴィア・ロドリゴ「SOUR」 / 我是機関少女「25」/ temp.「HIBISCUS」  / 「ワンダビジョン」 / 今泉力哉「街の上で」 / ケリー・ライカート「ミークス・カットオフ」 / 濱口竜介「ドライブ・マイ・カー」 / 「オッドタクシー」 / 「大豆田とわ子と三人の元夫」 / 「コントが始まる」 / 真造圭伍「ひらやすみ」 / はなつまみ 志らくゲスト回  / FNSラフ&ミュージック / 街裏ぴんく独演会「hardliquor」/ ロングコートダディ「万引き」「待ち合わせ」 / 錦鯉「合コン」 / マユリカ「ドライブデート」 / カベポスター「少年探偵」 / かもめんたる「円盤」/ ニゲルベ「英語」 / からあげ4

*1:熊倉献の連載作品。新作漫画はあまり読めていないのであれなのだけど、数少ない中から本作をランクインさせました。「春と盆暗」から一貫して想像力について語る作者の作家性が“SFガール・ミーツ・ガール”という形で爆発している。この先の展開がまだまだ読めないのでこの順位で。

*2:常にコントという枠組みの可能性に挑戦し続けているななまがりの、新たな代表作。これがキングオブコント準々決勝で落ちたなんて信じられない。

*3:ABEMAのバラエティ番組「チャンスの時間」の押しも押されぬ(?)名物企画「ノブの好感度を下げておこう」。結局今年もテレビのバラエティは千鳥の1年だったと思う。特に「チャンスの時間」は、軸となる企画とチャレンジングな企画のバランスの理想を見つけたのか、安定感すらあった。その中でも「ノブの好感度を下げておこう」は、カーテン閉めからのキス顔やロレックスを貸したがる宮迫、ペットボトルバイブなどさまざまな名場面を見せてくれました。

*4:正体不明の宅録アーティスト・Perfect Young Ladyによる初単独音源となるカセット作品。80'sポップスを鮮やかに再構築した楽曲が大好物なのはもちろん、“レトロフューチャーの申し子”を自称する彼女の作品がayU tokiO主宰のレーベル・COMPLEXからリリースされることの重要性含めこの順位。

*5:今年2月にミニアルバム「XIEXIE」で音源デビューを飾った4人組ロックバンド。今年出会ったバンドで一番好きだった。YONLAPAやEVERFOR、DSPSといったアジア圏のインディバンドの潮流にもあるような、サイケ / ドリームポップの空気感を漂わせる低体温のインディロック。

*6:1月1日に行われ、大きな反響を呼んだ配信ライブ。お笑い界の地殻変動は思えばここから始まった。そう思うことがこの先きっと何度もあるはず。

*7:テレビ千鳥の1時間SP放送回。ただ人生ゲームをやる、ただ目玉焼きを作る、そしてただバイキングをする、それが一番面白い。この1年、隙さえあれば大吉先生のバイキングを観ていた。

*8:渡辺あや脚本によるNHKドラマ。後半少し失速した感じもあったけど、1話の初速だけでも十分。今描くべきことを、エンタメ作品としてのドライブ感を保ちつつコメディタッチで描いてしまうことの素晴らしさ。

*9:綿矢りさによる小説を原作とした、山田杏奈主演の映画。自分は「すべての表現には、この世に存在しない(と思われるような)オルタナティブな関係を描いてほしい」と思っているんだと気づかせてくれた作品。

*10:今年一躍お笑い好きの注目の的になったダウ90000による単独公演。演劇とコントの見事なハイブリッドに、20台中盤の男女が織りなす会話劇の瑞々しさ。ユーロライブのあのキャパで公演を観れたことが懐かしくなる日もそう遠くないはず。

*11:不世出の詩人・柴田聡子による“雑感”。

*12:アトランタを拠点に活動する女性SSWの4thアルバム。オリヴィア・ロドリゴ、Snail Mail、Julian Bakerなど今年は女性SSWが強かった印象だけど、自分の好みとしては断然Faye Websterだった。自分はどこまで行ってもフォーク寄りの人間なんだと再認識した1枚。同じくインディフォークの傑作だったClairo「Sling」よりこちらに軍配が上がったのは、ポップかどうか。

*13:テレビ東京で放送されていた、門脇麦森山直太朗主演のドラマ。役者陣、演出、脚本、映像などすべてがさりげなくもハイクオリティで一気に観てしまった。最終話の、横並びになりながら向かい合うカラオケボックスのシーンの素晴らしさだけでも観てほしい。

*14:何回かの延期を越えて行われた待望のツーマンライブ。家主と台風クラブこそが今一番最高のロックバンドで、NEWFLOKこそが今一番最高のレーベル。動画は、各バンドで好きなライブ映像を。

*15:希代のギャグ漫画家・藤岡拓太郎の1ページ漫画集。詳細は埋め込んだエントリーで。

*16:東京に生きる150人の人生を1216ページにわたって収めたインタビュー集。ありきたりな言葉だけど、この世界に生きている人の数だけドラマがある。そんなことを感じられる表現はいつだって大好きで、これはその究極の形。

*17:杉谷庄吾による漫画を原作としたアニメ映画。自分の大好きな主題が、アニメーション映画ならではの快楽の中に詰まっていた。

*18:今年4月にスタートしたレギュラーラジオ。放送開始からまだ1年経ってないとは思えないくらい、とにかく安定してずっと面白い。特にゴールドラッシュやQBハウス、すた丼などについての生活感滲むトークが大好きで、このラジオを聴いて久々にゴールドラッシュを食べに行った。

*19:エメラルド・フェネル監督による映画。当事者としてのとんでもない居心地の悪さと、映画としてすさまじいほどの“面白さ”の間で引き裂かれそうになるという初めての体験。

*20:Netflixの人気ドラマ「セックス・エデュケーション」の最新シーズン。過去イチで好きだったかもしれない。自分は「すべての表現にはオルタナティブな関係を描いてほしい」と思っているんだと気づかせてくれた作品その2。メイヴとエイミーの関係を愛している。

*21:ポルトガルの鬼才・Bruno Pernadasによる5年ぶりの新作。軽やかに国境を越えながら、さまざまなジャンルの音楽をウェルメイドなポップスにしてしまう、ポップミュージックの理想郷のような作品。自分の中で折坂悠太のアルバムと共振する部分もあり。ジャケットも最高。

*22:“コントの賞レース”としての在り方が大きく変わった記念的な大会。

*23:Disney+で配信されている、MCUの実写版ドラマシリーズ第4弾。供給過多気味で少しMCU疲れを起こしていたのだけど、「ホークアイ」は最高だった。「ダイ・ハード」ばりのクリスマスアクションのスタンダード。ジャッキー・チェンのような肉弾戦からのカーアクションの流れの楽しさは、これこそドラマで観たいやつだ!とうれしくなった。テレビサイズで楽しめる軽快さがありながら、血縁をめぐる物語でもある。

*24:袖で観ていて立ち直れなくなりそうなくらい打ちのめされた。

*25:90分間ひたすら漫才をし続けた単独ライブ。今年は囲碁将棋にとって飛躍の年でもあったわけだけど、この単独で「やっぱり日本一の漫才師だ」と再認識させられた。ネタの着眼点も言い回しも出てくる固有名詞も、すべて“囲碁将棋的”としか形容できない固有性に満ち満ちている。動画内で、単独で一番好きだったネタの一部が見れます。

*26:テレビ東京で放送されていたドラマ。完全に週に1回の癒しになっていた。「好き」という気持ちを屈託なく、しかし軽やかに放ち続けたこの作品は、自分の1つの指針にもなっている。

*27:Homecomingsの記念すべきメジャー1stアルバムにして現時点での最高傑作。「やさしいだけでうれしかったよ」、それがすべて。「Homecoming with me?」「Somehow,Somewhere」「SALE OF BROKEN DREAMS」が無邪気なモラトリアムの時代で「WHALE LIVING」が青春期の終わりなら、「Moving Days」は表現への責任を纏い始めた、本当の意味で大人になった1枚だと思う。個人的に引っ越しをした年でもあったので余計に響いた。

*28:ラジオアプリGERAで放送中の番組。始まったのは昨年10月からだけど、この1年の勢いがとにかくすごかった。自分の2021年は、間違いなく情熱スリーポイントとともにあった一年だった。

*29:「喧嘩が強い」と嘯く作家の秋葉をからかう太田と、そこから「自分と太田どっちが野球が強いか」論を引き合いに出すウーチャカによる口論の再現トークという、太田光の十八番。「どっちが野球が上手いかなんて計りようがない」という持論を通したいがあまり、「俺より大谷翔平のほうが上手いに決まってるじゃん」という太田の極論に「いや、それはわからない」と返すウーチャカっぷりが最高。50代後半とはとても思えない2人のめんどくささが爆発していて、大笑いしながら胸がいっぱいになってしまった。

*30:迷わず1位。ただただ凄かった。あの瞬間は、間違いなく今年のベスト体験。