思うことはいつも

生活していて感じたことや触れたもの

2022年3月の記録

年度末の仕事の多さに忙殺されて、半日稼働とかも含めると18連勤していた。ゆえに書くことがあまりない。
そして国内外問わずいいアルバムが山ほど出ていて、全然追いきれていない。

優河の「言葉のない夜に」は”音響フォーク”なんて呼ばれるものの国内作品の最高傑作なのでは?と思っている。全曲のミックスを手がけた岡田拓郎(ex. 森は生きている)、そして岡田、千葉広樹、神谷洵平、谷口雄からなる魔法バンドによるサウンドメイクの素晴らしさ。それが、優河というシンガーの存在が中心にあることで、とても開けた作品になっていることが、この作品を特別なものにしていると思う。

Laura day romance「roman candles | 憧憬蝋燭」は、前作「Farewell Your Town」が本当に大好きだったものの、その後のシングルが真っ直ぐなギターロック路線だったのでどうなるかと思いきや、まさかのインディーフォークどっぷりのアルバムになるとは(このインタビュー曰くClairoが大きな参照になっているよう https://mikiki.tokyo.jp/articles/-/31328)。作品ごとのニュアンスの変化のさせ方も、バンドにとって勝負所と思われるこのタイミングでキャッチーな曲が1曲もないのも、とても頼もしいなと思ってしまう。そしてなにより、シンプルにソングライティングがとてもいいですし。

国外のアルバムはもうとにかくRex Orange Countyの「WHO CARES?」が最高。ヒップホップやネオソウルといった世界的なトレンドを真っ向から吸収しつつ、あくまでリビングルームに似合う、ささやかでタイムレスなポップミュージックに仕上がっている。Homecomings福富さんが寄稿したこちらの文もとてもよい。僕らはいつだって暮らしに近い音楽を愛している。(ホムカミの新曲のタイトルは「i care」!)

レックス・オレンジ・カウンティ(Rex Orange County)の音楽は僕を安心させてくれる――Homecomings福富が新作『WHO CARES?』について綴る | Mikiki

そういえばfuvkの「split death」もとてもよかったのだけど、fuvkもいつだか福富さんが紹介しているのを見て知ったし、Laura day romanceの今作にも福富さんがコメントを寄せていた。自分の感性は思ったよりも福富さんを軸に動いているのかもしれない。

そういえばこの前福富さんの愛読書だというスチュアート・ダイベックの「シカゴ育ち」を読んでいたら、1章のタイトルが「Farwell」で、Laura day romanceの「Farewell Your Town」はここから着想を得たのではと思ったのですが、どうなんでしょう。「Farewell Your Town」の街の描き方はめちゃくちゃシャムキャッツ的であり、めちゃくちゃホムカミ的なので、前作に元シャムキャッツ菅原さん、今作に福富さんがコメントを寄せるているのは、バトンが直接手渡されたようで、胸が躍る案件であります。

Yogee New Wavesの日比谷野音公演が本当に素晴らしくって、野音にしかないあの“特別な感じ”が間違いなく日本一似合うバンドでした。
Yogee New Wavesというバンドは、シャムキャッツやザ・なつやすみバンドや片想いやWORLD RECORDSの頃のcero(もちろんMy Lost City以降も最高だけど)を愛してやまなかった自分にとって、SuchmosやネバヤンやLUCKY TAPESやD.A.N.と同じく、10年代中盤の東京のインディーシーンの潮目の変化を象徴する存在で、どこか受け入れきれない感覚がずっとあった。それが昨年の「WINDORGAN」あたりからようやくそういったバイアスなしに聴くことができて、今回野音に行ったわけだけど、やっぱり掛け値なしに最高のライブをするバンドですね。ブラックミュージックを通過しつつ、最終的にどこまでも上質なロックンロールをやろうとしてる感じがめちゃくちゃよくて、そういう“バンドならではのマジック”みたいなものが、あのステージに最高に映えていた。ライブで聴くとカントリーやレゲエやフォークといったルーツミュージックの要素も強く出ていて、洗練されきっていないところがとても好きだ。生涯ベスト野音はもうこの公演で決定です。

カネコアヤノのツアーファイナルはいつも通りとてもよかったのだけど、新曲のライブアレンジがめちゃくちゃシューゲで、あまりそっちの方向に行きすぎないでほしいと思っている。
サニーデイ・サービス豊洲ワンマンもめちゃくちゃよくて、それ以来曽我部恵一ワークスをおさらいしている。「PARTY LOVE ALBUM」の「MAHO」がとても大好き。

去年すっかり見逃した「14歳の栞」の再上映を池袋シネマ・ロサで観れてよかった。
今泉力哉の「猫は逃げた」は想像以上に軽くて拍子抜けする部分もあったのだけど、シンプルに何度も声を出して笑ったし、劇場全体もずっと笑いが起きていて、それだけでもうよかったな。特に山場の長回しのシーンの笑いの数が尋常じゃなくて、結局自分はこういう会話劇然としたものに弱いんだなと思いました。

3月でもっとも好きなあるあるは「焼き鳥の聞いたことがない名前の部位、コリコリした食感を想像しがち」でした。